こんにちは。どっちなんだい、運営者の「どっちなんだ郎」です。
キッチンの天板や浴槽を選んでいると、必ず出てくる「人造大理石」と「人工大理石」という言葉。
響きが似ていて、カタログを見ても違いがよくわからない…。結局のところ、人造大理石と人工大理石はどっちが良いのでしょうか?
価格はどれくらい違うのか、キッチンやお風呂で使った場合に後悔しないか、メリットやデメリットも気になりますよね。
特に黄ばみやシミといったお手入れ(掃除)の方法や、LIXILやトクラスといった主要メーカーによる違いも知っておきたいポイントだと思います。
この記事では、この「人造」と「人工」の混乱する違いをスッキリ整理して、あなたのライフスタイルに最適なのはどっちなのか、一緒に見つけていきたいと思います。
- 「人造」と「人工」の名称がなぜ混乱しているか
- 本当に比べるべき3つの素材(アクリル系・ポリ系・クォーツ系)の違い
- 素材別のメリットと後悔しやすいデメリット
- LIXILとトクラスなど主要メーカーの決定的な違い
人造大理石と人工大理石、どっちが良い?名称の違い

さて、さっそくですが「人造大理石と人工大理石、どっちが良い?」という疑問を解明していきましょう。
実は、この比較、言葉の定義がとてもややこしいことになっているんです。
まずは、この混乱を整理するところから始めないと、どっちが良いか判断できないんですよね。
名称の違いと素材の見分け方
まず、辞書的な意味合いで言うと、この2つは以下のように区別されることがあります。
- 人造大理石(テラゾー): 天然の大理石を細かく砕いて、セメントや樹脂で固めたもの。天然石のチップ(粒)が見えるのが特徴です。
- 人工大理石: アクリル樹脂やポリエステル樹脂といった「樹脂」を主成分に、人工的に製造したもの。天然石は含まれていません。
「なるほど、天然石が入ってるのが人造で、全部樹脂なのが人工か」と思いますよね。
私もそう思っていました。でも、ここが最大の落とし穴なんです。
実際には、多くの大手住宅設備メーカー(例えばトクラスさんやLIXILさん)が、自社の高品質な「樹脂製」のカウンターを、あえて「人造大理石」と呼んで販売しているんです。
これは、昔からある安価な「人工大理石」(ポリエステル系など)と差別化して、「うちのは高級ですよ」というイメージを持たせるためのマーケティング戦略なんですね。
つまり、市場では「人造」も「人工」も、ほとんどが「樹脂」でできている、というカオスな状況が生まれています。
混乱のまとめ
- 辞書的な意味:人造=天然石チップ入り / 人工=100%樹脂
- 市場での実態:メーカーが呼ぶ「人造大理石」も、実際は「高品質な樹脂(アクリル系)」であることが多い。
だから、「人造か人工か」という名称で比較しようとすると、必ず混乱します。
本当に比較すべき3つの素材

じゃあ、私たちは何を基準に「どっちが良いか」を判断すればいいんでしょうか?
答えはシンプルです。名称ではなく、「主成分(何でできているか)」で比較すること。これが全てです。
今の住宅設備市場で「大理石風」の素材を選ぶとき、実質的に比較すべきなのは以下の3つのカテゴリーです。
- 【エントリー】ポリエステル系(人工大理石)
- 【メイン】アクリル系(人工大理石 / メーカー呼称「人造大理石」)
- 【プレミアム】クォーツストーン(高級人造石)
私たちが悩んでいる「どっちが良いか」という問いは、ほぼ「2. アクリル系」と「3. クォーツストーン」のどっちにするか、あるいは「1. ポリエステル系」と「2. アクリル系」のどっちにするか、という悩みなんですね。この3つの特徴を見ていきましょう。
ポリエステル系の特徴と価格
これは、昔からある比較的安価な「人工大理石」です。「ポリ系」とも呼ばれますね。
最大のメリットは、やはり価格が安いこと。システムキッチンや洗面台、ユニットバスの浴槽などで、標準仕様や普及価格帯のモデルによく使われています。
一方で、デメリットは耐久性です。次に紹介するアクリル系と比べると、どうしても傷がつきやすく、汚れも染み込みやすい。
特に紫外線に弱く、窓際にあるキッチンだと年月の経過で黄ばみやすいという弱点があります。
予算を最優先したい、あるいは使用頻度が低い場所(セカンドハウスの洗面台とか)なら選択肢に入りますが、毎日使うキッチンだと、ちょっと耐久性が心配かな、というのが正直なところです。
アクリル系のメリットとキッチン

現在、国内のキッチンメーカーが「人造大理石」あるいは「高品質な人工大理石」として販売している主流(メインストリーム)が、このアクリル系樹脂です。
ポリエステル系よりも性能が格段にアップしていて、耐久性や耐汚染性(汚れにくさ)、耐熱性も向上しています。質感が良くて、透明感や高級感があるのも特徴ですね。
そして、アクリル系の最大のメリットは「加工性の高さ」です。
アクリル系の強み:シームレス加工
アクリル系素材は、カウンター(天板)とシンク(流し)を、接着剤の跡などが全く見えないように「継ぎ目なく」一体成形(シームレス加工)できるんです。
継ぎ目や段差がないということは、そこにカビや汚れが溜まる隙間がないということ。これは毎日のキッチン掃除を考えると、とんでもないメリットですよね。
ステンレスシンクだと、どうしても天板との間にコーキング(ゴムパッキン)があって、そこが黒ずんできたりしますから…。
トクラスさんの「人造大理石」やLIXILさんの「人造大理石」、またデュポン社の「コーリアン」といった有名ブランドの多くが、このアクリル系に分類されます。
キッチンでデザインの美しさと清掃性を両立したいなら、まず検討すべき素材だと思います。
クォーツ系のデメリットと価格
最後は、プレミアムクラスの「クォーツストーン」です。「エンジニアドストーン」とも呼ばれますね。
これは、辞書的な意味の「人造大理石」に近いです。主成分の90%以上が天然の水晶(クォーツ)で、それを少量の樹脂でガチガチに固めて作られています。
メリットは、アクリル系を遥かに凌駕する圧倒的な耐久性。
- 傷にめちゃくちゃ強い:包丁でこすったくらいではビクともしない硬さです。
- 汚れ・シミに最強:素材の吸水率がほぼゼロなので、醤油やコーヒーをこぼしても染み込みません。
天然石のような重厚な高級感と、メンテナンスフリーに近い性能を両立した、まさに最強の素材です。アイカ工業さんの「フィオレストーン」などが有名ですね。
…と、良いことばかりのように聞こえますが、もちろんデメリットもあります。
クォーツ系のデメリット
- 価格が非常に高い:3つの素材の中でダントツに高価です。
- シームレス加工ができない:アクリル系と違い、L型キッチンなどでは必ず「継ぎ目」ができます。
- 硬すぎる:硬すぎて、カウンターに置いたグラスやお皿のほうが割れやすいです。
- 補修が困難:万が一、重いものを落として割れたり欠けたりした場合、補修はほぼ不可能です。
性能はピカイチですが、価格やデザイン(継ぎ目)、扱い方の面で、受け入れるべき制約も大きい素材だと言えますね。
人造大理石と人工大理石、どっちが良いか性能比較

3つの素材の違いが見えてきたところで、もう少し具体的に「どっちが良いか」を判断するために、性能面を深掘りして比較してみましょう。
特に「後悔」につながりやすいポイントをチェックしていきます。
後悔しないためのデメリット比較
「大理石」という名前から「石のように頑丈」と思っていると、後悔につながるかもしれません。
特にアクリル系やポリエステル系といった「樹脂系」の素材は、注意が必要です。
① 耐熱性のデメリット
これは樹脂系(アクリル/ポリ)の最大の弱点です。熱い鍋やフライパンを直接置くことは絶対にできません。
鍋敷きを忘れると、高熱で変色したり、最悪の場合は変形したりします。
シンクに熱湯を大量に流すのも、あまり良くないとされていますね。
クォーツ系は樹脂系よりは熱に強いですが、それでも急激な温度変化は避けるべきとされています。
② 耐衝撃性(割れ)のデメリット
ステンレスシンクなら、重い缶詰を落としても「凹む」だけですが、樹脂系素材やクォーツ系素材は「割れる・ひびが入る」リスクがあります。
もちろん、各メーカーとも衝撃に強くする工夫(トクラスさんは特に強さをアピールしています)をしていますが、素材の特性として「割れる」可能性はゼロではない、と覚えておく必要があります。
黄ばみ・シミの正しい掃除(お手入れ)
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樹脂系(アクリル/ポリ)を選んだ人が最も後悔するポイントが「黄ばみ」と「シミ」です。
「最初は真っ白でキレイだったのに、数年で黄ばんできた」「カレーや醤油のシミが取れなくなった」という声は、本当によく聞きます。
これは、樹脂の経年劣化や紫外線、そして表面についた目に見えない細かな傷に汚れが入り込むことで発生します。
でも、これは正しいお手入れでかなり防ぐことができます。
樹脂系素材の掃除(お手入れ)の基本
- 基本は「中性洗剤」:普段のお手入れは、柔らかいスポンジに台所用中性洗剤をつけて洗い、水で流したあと乾拭きするだけでOKです。
- 汚したら、すぐ拭く:シミの原因は「汚れの放置」です。色の濃いものをこぼしたら、すぐに拭き取る習慣が一番大事です。
そして、黄ばみやシミを落とそうとして「やってはいけない掃除」をしてしまい、さらに後悔を深めるケースが非常に多いんです。
警告:絶対に使ってはいけない洗剤(樹脂系の場合)
黄ばみを落としたいからといって、塩素系漂白剤(カビキラーなど)や、酸性洗剤(クエン酸など)、アルカリ性洗剤(アルカリ電解水など)を使うのは絶対に避けてください。
これらは樹脂の表面を化学的に溶かしてしまい、ベタつきやザラつきの原因になります。
そのザラつきが、さらに汚れをキャッチしやすくなり、前よりひどい黄ばみ・黒ずみになる…という負のスパイラルに陥ります。
また、硬い金属タワシや研磨粒子が粗いスポンジで擦るのも、表面に深い傷をつけて汚れを入り込ませる原因になるのでNGです。
お手入れの方法は、選ぶ製品によっても微妙に異なります。
必ず、導入するメーカーの取扱説明書を確認してくださいね。
メーカー比較(LIXIL・トクラス)
アクリル系が主流とはいえ、メーカーによって考え方や強みが全然違うのが面白いところです。
特に代表的なLIXILさんとトクラスさんを比較すると、その違いがよくわかります。
LIXIL:「コーティング」で守るタイプ
LIXILさんの「人造大理石」には、「バリアコート」といった特殊な防汚コーティングが施されている製品があります。
このコーティングのおかげで、初期の汚れのつきにくさ、落としやすさは抜群です。
ただし、注意点はこのコーティングを剥がしてはいけないこと。LIXILさんの説明書では、メラミンスポンジやクリームクレンザー、研磨剤入りスポンジの使用を「表面を傷める恐れがあるため使用しないでください」と警告しています。
つまり、ユーザーが「磨いて再生させる」ことができないタイプなんです。傷の補修は専門業者に依頼するのが基本となります。
トクラス:「素材(無垢)」で戦うタイプ
一方、日本で初めて人造大理石カウンターを作ったトクラスさん。ここの「グラーナ」などの人造大理石は、表面にコーティングがない、素材そのものが均一な「ソリッド(無垢)」構造であることが強みです。
コーティングがないので、もし細かい傷やシミがついても、ユーザー自身がナイロンたわしやクリームクレンザーで「磨いて修復できる」ことを公式に謳っています。
衝撃にも強く、長く使っていく上での「再生能力」を重視したタイプですね。
メンテナンス方法が「真逆」
同じ「人造大理石」という名前なのに、片や「絶対に磨くな(LIXIL)」、片や「磨いて直せる(トクラス)」と、メンテナンス方法が正反対なんです。
これは、契約前に絶対に確認すべき「どっちが良いか」の重要な分岐点ですね。
浴槽(お風呂)での注意点

「人造大理石」は、浴槽(バスタブ)でもFRP(普通のプラスチック)の上位素材として人気です。
肌触りが滑らかで高級感がありますし、汚れもつきにくいのがメリットです。
ただ、浴槽で採用する場合には、キッチンとは違う注意点があります。
浴槽(お風呂)での2大注意点
- 機能の後付けがほぼ不可能素材が非常に硬いため、購入した後に「やっぱり追い炊き機能が欲しい」とか「ジェットバスの穴を空けたい」といった工事が原則できません。これらの機能が必要な場合は、必ず契約時に決めておく必要があります。
- 入浴剤の制限キッチンで洗剤を選ぶのと同様に、浴槽では「入浴剤」に注意が必要です。成分によっては(特に硫黄系など)、浴槽の光沢が失われたり、変色したりする可能性があります。使える入浴剤が制限される場合があるので、これも確認が必要ですね。
人造大理石と人工大理石、どっちが良いか結論
ここまで見てきた情報を整理して、「人造大理石と人工大理石、どっちが良いか」という問いに対する、私なりの結論をまとめたいと思います。
結局のところ、「名称」で選ぶのは無意味で、「どの素材(ポリ系・アクリル系・クォーツ系)を選ぶか」という問題でした。
そして、どの素材も一長一短で「完璧」なものはありません。自分がどのデメリット(制約)を受け入れられるか、で決めるのが良いかなと思います。
【結論】ライフスタイル別・どっちが良いか
① バランス重視派なら → アクリル系
「シームレスなデザイン(掃除のしやすさ)」と「価格」「耐久性」のバランスが最も良い、現在の主流です。
ただし、熱い鍋を直置きしない、汚れを放置しない、という「日々の丁寧なメンテナンス」を受け入れる必要があります。
② 絶対的な耐久性・高級感重視派なら → クォーツストーン
「シミや黄ばみの心配を一切したくない」「メンテナンスの手間を最小限にしたい」ならコレです。
ただし、「初期費用が非常に高い」「L型だと継ぎ目ができる」「食器が割れやすい」という制約を受け入れる必要があります。
③ 予算最優先派なら → ポリエステル系
とにかく安価なのが魅力です。ただし、「黄ばみ」や「傷」のリスクがアクリル系より高いため、長期的な美観の維持は難しいかもしれません。
毎日使うメインのキッチンよりは、洗面台などに適しているかも、と思います。
ショールームに行ったら、担当者さんに「これはアクリル系ですか?クォーツ系ですか?」「表面にコーティングはありますか?」「メラミンスポンジで磨いても大丈夫ですか?」と聞いてみてください。
この記事が、あなたの「どっちなんだ?」を解消するヒントになれば嬉しいです。
(※本記事で紹介したメンテナンス方法や素材の特徴は、あくまで一般的な傾向です。実際の仕様やお手入れ方法は、必ず各メーカーの最新の取扱説明書や公式サイトでご確認の上、ご自身の責任においてご判断ください。不明な点は、施工業者や専門家にご相談されることをお勧めします。)
